業者さんとの「信頼づくり」が、結果としてコストを下げる──粗利改善の本質に迫る

こんにちは。
最近、断熱材や建材の価格が不安定だという声をよく耳にします。確かに多くの建材が値上がり傾向にありますが、実はメーカーによっては価格を据え置いていたり、逆に値下げしているところもあります。
こうした情報を知らずに「全部値上げしている」と思い込んでしまうと、必要以上に仕入れコストを増やしてしまう可能性も。
つまり、正確な情報と、それをどう業者さんと共有するかが、粗利改善においてとても重要なのです。
「一方的な交渉」ではなく、「共に考える」姿勢がコストを下げる
私たちは粗利改善の支援において、価格交渉のノウハウをお伝えする場面もありますが、その際に大切にしているのは「業者さんとの共存共栄」という考え方です。
たとえば、ある地域密着の工務店さん(年間10棟前後の受注)が、壁紙(クロス)工事のコストを見直したいという相談がありました。
当初は「業者さんの見積が高いのでは?」という見立てでしたが、実際にヒアリングしてみると、業者さんが仕入れているクロスの価格自体が相場より高いことがわかりました。
そこで私たちが提供したのは、クロスの適正価格とその根拠、仕入れ価格の見直し方などの具体的な情報。
工務店さんはそれを業者さんと共有し、結果的に業者さんが仕入先に価格交渉を行い、仕入れ価格を抑えることに成功しました。
その結果、工務店側の工事単価も自然と下がり、まさに「お互いにとって良い結果」となったのです。
継続的な関係構築が、値上げリスクを防ぐ
この工務店さんが素晴らしいのは、一度成功したら終わりではなく、継続的に業者さんとコミュニケーションを取っている点です。
価格が上がったと聞けば「どれくらい上がったのか?」「どうすれば負担を軽減できるか?」と一緒に考える。
新しい材料や製品が話題になれば、業者さんにその特徴や注意点を伝える。
業者さんからすれば、「この工務店と組んでいれば安心できる」「情報をもらえる」と感じ、他社よりも良心的な価格で応じてくれることもあります。
実際にその工務店さんでは、他社と比べて値上げ交渉がほとんど来なくなったそうです。
「正しいコスト交渉」は、業者さんの利益も守る
誤解していただきたくないのは、「業者を叩いて安くさせる」という話ではないということです。
業者さんも今、厳しい状況にあります。案件は減り、資材費は上がり、社員を守るために必死です。そんな中で「お互いが生き残るためにどうするか」を一緒に考えることが、結果的にコスト削減にもつながるのです。
ある種、これも「経営管理力」のひとつです。
地域工務店に必要なのは、“シビア”ではなく“信頼ベース”のコスト戦略
大手のハウスメーカーであれば、1円単位の原価交渉が重要かもしれません。
でも、地域密着の工務店の場合は、業者さんとの信頼関係が何より大切。
そのため、私たちは「価格交渉の技術」だけでなく「どう関係を築くか」「どのように情報を共有するか」といった、“コスト管理の土台”を強化する方法もお伝えしています。
まとめ
利益は「関係性」から生まれる
粗利改善というと「数字」や「仕入れ単価」ばかりに目が行きがちです。
ですが、本当に大切なのは「誰と、どんな関係で仕事をしているか」という“土台の部分”。
値下げは交渉で生まれるのではなく、信頼で生まれるのです。
業者さんとの共存共栄を意識した経営が、長い目で見たときに最も堅実で持続可能な「粗利改善策」になると、私たちは確信しています。